仮性三叉神経痛



真性三叉神経痛と類似し、放散性、電撃性、拍動性の疼痛を呈する。患者の訴えのみでは、真性、仮性の鑑別診断は困難なことが多い。Valleixの圧痛は陽性あるいは不定、領域皮膚粘膜の知覚異常あるいは過敏を見る場合がある。



三叉神経痛の症状を呈する患者三叉神経支配領域の組織臓器の器質的病変に伴って三叉神経痛と同様の疼痛を二次的に呈するものを言う。原因により歯性三叉神経痛、耳性三叉神経痛と呼ばれるものがある。顎骨、副鼻腔、顎関節、耳、眼窩などに生じた血管炎、神経炎、神経幹周囲の炎症、腫瘍や外傷による圧迫により仮性三叉神経痛の発現を見る。延髄周囲脳底の腫瘍も本性を呈することがある、一つの原因となる歯牙および口腔の疾患群には、急性歯髄炎、急性歯根膜炎、歯髄結石(象牙質瘤)の圧迫、埋状歯、歯槽膿漏および象牙質知覚過敏、口内炎および歯肉病変、抜歯創治癒不全、顎骨骨髄炎、顎骨内腫瘍などがある、帯状疱疹後神経痛もある。



誘因としては原疾患の発症、原疾患の疼痛を誘発する病変の進行及び刺激が誘因となる。



発現領域は多様で定型を取らないものが多い。いくつかの末梢領域にまたがるもの、第1枝領域に症状を呈するものがある。



には積極的に原疾患発見の努力をすることが必要である。初期に真性と診断した症例が、以後の経過および検査の結果、症候性と診断されることもある。原疾患と疑わしいものがある場合、そこへの刺激によって疼痛が発現すること、原疾患の治療、除去により、あるいは原疾患への局所麻酔により疼痛の消褪をみることで診断を確定できる。



真性三叉神経痛との鑑別は以下の臨床のいくつかを満たすことによって行われる。



  1. 仮性三叉神経痛は真性に比べ疼痛が軽度のものがある。

  2. 疼痛の持続時間が長い。

  3. 完全な無痛期を欠くものが多い。

  4. 誘発帯が不明確、あるいは特殊な誘発刺激をもつものがある。

  5. 疼痛発現の範囲は神経支配領域と一致しない。

  6. 誘発箇所と疼痛野が神経解剖的に一致しない。

  7. 神経痛以外の前駆症状、既往を経験している。















治療としては、原疾患の根本的な治療または除去が必要である。多くの例で、鎮痛剤が効果を示し、鎮痙剤は無効である。



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