労作性狭心症
労作性狭心症は、労作時の心筋酸素需要増加をきっかけとして、一過性の心筋虚血状態をきたし、狭心痛が発生する疾患である。その心筋虚血は可逆的であり、心筋壊死は生じない。動脈硬化などによる器質的冠動脈狭窄が原因である。
臨床
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、高齢などの冠危険因子を持つ人に好発する。
- 労作時に前胸部絞扼感・圧迫感、心窩部痛、左肩から左上肢にかけての放散痛などが出現し、3〜5分程度持続する。
- 硝酸薬(ニトログリセリンなど)で速やかに胸痛が消失する。
- 発作時に、心電図でST下降を認める。
- 血液検査で、心筋傷害マーカーの上昇はない。
- 運動負荷心電図にてST下降を認める。
- なお、労作時以外に、寒冷や食事、精神的興奮なども心筋の酸素需要が増加するため誘引となる。
診断
- 診断精度を高める補助検査として、心筋血流シンチグラフィ(201Tl(タリウム)や99mTc(テクネチウム)心筋血流製剤)を行う。
- 冠動脈狭窄部位で運動負荷時に201Tlなどの取りこみが低下するが、数時間後には取りこみが改善する。
- 近年では冠動脈CTやMRIで冠動脈の狭窄を検査することも多くなっている。
治療
1.薬物療法
- 発作時の使用:速効型の硝酸薬(ニトログリセリンの舌下投与など)
- 発作の予防 :硝酸薬,、Ca拮抗薬、β遮断薬
- 抗血小板薬(アスピリンなど)
- スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)
2.血行再建術:冠動脈造影(CAG)で冠動脈の狭窄部位を確認後、症例に応じて経皮的冠動脈インタ-ベンション(PCI)または冠動脈バイパス術(CABG)を行う。
3.生活習慣改善による冠危険因子の是正・治療
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