急性動脈閉鎖症

急性動脈閉鎖症は、末梢動脈が塞栓などにより突然閉塞し、血流が途絶した状態である。迅速かつ的確な治療を行わなければ肢壊死や、虚血からの再灌流によって引き起こされる腎不全などで死に至る可能性がある。死亡率は10〜28%にのぼる。

臨床

  • 心房細動(AF)、心臓粘液腫などの心疾患(塞栓の原因)、血液凝固能亢進、動脈硬化(血栓の原因)などが誘引となり引き起こされる。
  • 突然の疼痛で発症する例が約60%に認められ、主要症状として以下の5Pがよく知られている。pain:疼痛、pulselessness:脈拍消失、pallor/paleness:蒼白、paralysis/paresis:運動麻痺、paresthesia:知覚鈍麻
  • なお組織が非可逆的変化に陥るまでの時間(ゴールデンタイム)は6時間であるため、血栓塞栓除去が実施可能な診療科への迅速な連絡が重要となる。

診断

  • 脈不整の触知、聴診、心電図などで原因を検索し、ABIの測定、ドプラエコー、血管造影、MDCT、MRAなどで閉塞を確認する。

治療

  1. 早急に血行再建(Fogartyカテーテルなどを用いた血栓塞栓除去術、バイパス術、経カテーテル血栓溶解療法)を行う。
  2. 保存的に抗凝固療法(ヘパリン静注)を行う。

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