カンピロバクター感染症

Campylobacter属の菌は、家畜の腸管に高率に棲息し、汚染された食肉、生乳、ペットとの接触などを介してヒトにも経口感染する人獣共通感染症である。C.jejuniによる感染が95%以上を占める。細菌性食中毒(下痢症)の中では最も高率にみられる。

臨床像

  • 家畜からの汚染食品(鶏肉などの食肉,生乳など)を摂取後、2〜7日と長い潜伏期間をもって、腹痛下痢(はじめ水様性,時に粘血便)、発熱を3徴とする症状が現れる。
  • C.jejuniは鶏、豚、牛といった家畜の腸管に生息する。調理中の不十分な加熱などが原因で経口摂取によりヒトの体内に入ると感染する。
  • C.jejuniは少数の菌で感染が成立し、小腸上皮細胞内に侵入・増殖し、細胞を破壊する細胞内侵入型である。そのため、感染から発症までの間が2〜7日とサルモネラなどの類似疾患に比べて時間がかかる。
  • 低温に強いため、冷蔵された食肉にも注意が必要である。
  • 感染症法では5類感染症、定点把握疾患の「感染性胃腸炎」に含まれている。

診断

  • コロニーの鏡検で、コイル状の(グラム陰性小桿菌の)らせん運動がみられる。便からの培養にはSkirrow培地を使用する。
  • 迅速診断には、ELISA法などを用いた検出キットやPCR法が用いられる。

治療

  • 多くは自然治癒し予後良好であるが、感染をたつ目的で、または重篤例に対してマクロライド系(エリスロマイシン)を使用する。

合併症

  • C.jejuni感染の予後は一般的に良好だが、本菌感染後1〜3週間後にギラン・バレー症候群を発症する例が知られている。また反応性関節炎の原因にもなる。

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