フェリックスガタリ
フェリックス・ガタリ
Pierre-Felix Guattari(1930-1992)
フランスの精神科医・哲学者。
ジャック・ラカンの下で精神分析を学ぶが、後にフロイト的な無意識の把握方法に決別した。1968年パリで起きた5月革命に触発されて、親友の哲学者であるジル・ドゥルーズと共に執筆した「反オイディプスL’anti-oedipe」「千の高原Mille Plateaux」という2冊の書物によって全く新しい精神医学(彼の用語で「分裂者分析schizanalyse」)の創始を試みた。そこでは、人間と社会と自然を連続した一元的な存在として捉えるスピノザ的な世界観を基本とし、無意識を「欲望する機械たち」、意識を「器官なき体」と呼び、資本主義社会と精神分裂病を同時に解説するという全く異常な試みが成されている。その独創的な新しい概念の数々と、偶像破壊的で権威批判的な姿勢によって20世紀後半の世界の哲学潮流を決定付けた。神・王・法・土地・貨幣・資本といった社会制度を超越と呼んで徹底的に批判し、思考の自由と精神の革命を訴えるが、その「統合失調症患者を模倣した」とも称される独特の文体のため、その思想を理解する人は極めて稀である。