ノカルジア症

概略
ノカルジア症は急性あるいは慢性でしばしば播種性の化膿性または肉芽腫性感染症であり,ノカルジア属の様々な好気性土壌腐生菌に起因する。肺炎が典型的で,皮膚および中枢神経系の感染も一般的である。診断は培養および特殊染色により行う。治療には通常,スルホンアミド系を使用する。


疫学
放線菌科のいくつかのノカルジア種が人の疾患を引き起こす。最も多いヒト病原菌はNocardia asteroidesであり,通常肺感染症および播種性感染症を引き起こす。N. brasiliensisは,最も一般には皮膚感染症を引き起こす(特に熱帯気候において)。感染は吸入,または皮膚への直接接種による。ノカルジア症は世界中であらゆる年齢層の人に起こるが,発生率は高齢者(特に男性)で高い。人から人への伝播はまれである。リンパ網内系悪性腫瘍,臓器移植,高用量コルチコステロイドまたは他の免疫抑制療法,および肺の基礎疾患が素因であるが,患者の約1/2は基礎疾患をもたない。ノカルジア症はまた,進行HIV感染患者における日和見感染症でもある。その他のノカルジア種が,限局性またはときに全身性感染症を引き起こすことがある。

症状と徴候
ノカルジア症は通常,放線菌症に類似する亜急性肺感染症として始まるが,ノカルジアは局所性または血行性に広がる傾向が強い。膿瘍形成を伴う播種はあらゆる臓器を侵しうるが,最も一般的に侵されるのは脳,皮膚,腎臓,骨,または筋である。
肺病変の最も一般的な症状(咳,発熱,悪寒,胸痛,脱力,食欲不振,体重減少)は非特異的で,結核または化膿性肺炎症状に類似する。胸水も生じうる。症例の30〜50%において転移性脳膿瘍が生じ,通常激しい頭痛および局所神経異常を引き起こす。感染は急性,亜急性,慢性のいずれもありうる。
皮膚膿瘍または皮下膿瘍が,ときに原発性限局性播種の結果として高頻度に発生する。それらは硬い蜂巣炎,リンパ皮膚型症候群,または放線菌腫として現れることがある。リンパ皮膚型症候群は,原発性膿皮症病変と,スポロトリクム症に類似するリンパ小結節からなる。放線菌腫は小結節として始まり,化膿し,筋膜表面に沿って広がり,慢性瘻孔から排膿する。


診断
理学所見,X線検査,その他の画像検査により同定した限局性病変に由来する組織または培養において,ノカルジア種を同定することにより診断を行う。しばしばグラム陽性菌の数珠状分枝状微細線維の塊を認める(弱抗酸性のことがある)。ノカルジアはイスラエル放線菌のような棍棒状の外観を示さない。

予後と治療
治療をしないと,肺性および播種性のノカルジア症は通常致死的である。適切な抗生物質で治療した患者においては,死亡率は播種性感染の免疫不全患者で最も高く(50%を超える),病変が肺に限局している免疫能正常患者で最も低い(約10%)。皮膚感染症患者の治癒率は通常95%を超える。
トリメトプリム-スルファメトキサゾールまたは高用量のスルホンアミド単独(スルファジアジンまたはスルフイソキサゾール)が使用される。ほとんどの症例は緩徐に反応するため,スルホンアミドの血中濃度を12〜15mg/dLに維持する用量(例,スルファジアジン4〜6g/日,経口)を数カ月継続しなければならない。スルホンアミド過敏性または難治性感染がある場合には,アミカシン,テトラサイクリン(特にミノサイクリン),イミペネム-シラスタチン,セフトリアキソン,セフォタキシム,またはシクロセリンが使用できる。in vitroの感受性試験成績に基づき適切な薬剤を選択する。

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