薬害エイズ事件
1980年代の日本で発生した薬害事件で、HIVが混入した非加熱血液製剤を投与された血友病患者600名以上がAIDSによって死亡した。1996年に、その責任者として、医学界からは安部英・元帝京大学副学長、産業界からは旧ミドリ十字社の歴代3社長、行政からは松村明仁・元生物製剤課長が起訴された。安部元副学長は一審無罪となり控訴審中に死亡した。3人の元社長のうち2人は禁固刑の実刑が確定し、1人は控訴心中に死亡した。2008年3月、最高裁判所は松村・元厚生省課長に対して禁固1年、執行猶予2年とした1,2審の判決の上告を棄却し、有罪が確定した。行政の業務担当責任者が不作為について官僚個人の刑事責任を最高裁判所が確定したのは前例がなく、産・官・医の刑事責任については起訴から12年で審理が終了した。患者らが国と製薬会社に対して賠償を求めた民事訴訟は1996年3月に和解が成立している。