ミトコンドリア脳筋症

ミトコンドリアDNAの異常が原因で中枢神経症状や筋症状など多彩な症状をきたす疾患である。ミトコンドリア病ともいう。CPEO、MELAS、MERRFの3つが代表的であり、MELASが最も多い。遺伝性の場合は、ほぼ母系遺伝となる。
病態としては、変異ミトコンドリアDNAの数が多くなって、電子伝達系の酵素複合体の機能が低下する。これによって電子の受け渡しがうまくいかなくなり、クエン酸回路、電子伝達系が働かず、解糖系のみでATPを産生する。そのため血中のピルビン酸、乳酸は上昇する。ATPの産生が低下し、多くのエネルギーを必要とする脳や筋などに異常を生じる。
根本的な治療法はないが、ビタミン剤、コエンザイムQ10、L−アルギニン、ピルビン酸などが使用されている。
⑴    MELAS
原因はミトコンドリアRNAの点変異である。症状を繰り返し、増悪していく特徴がある。母系遺伝により発症する。
好発年齢は5〜15歳であるが、成人発症例もある。特徴的な症状としては脳卒中発作(頭痛、嘔吐、けいれん、意識障害、片麻痺など)や糖尿病が見られる。その他、ミトコンドリア脳筋症の共通症状である知能低下、感音性難聴、筋力低下、易疲労性、低身長、心筋症などが見られる。検査所見としては、ミトコンドリア脳筋症に共通ではあるが、血中・髄液中の乳酸値、ピルビン酸値、乳酸/ピルビン酸比(L/P比)が上昇する。また筋生検で筋漿膜下に異常なミトコンドリアが多数蓄積している像が見られる。ミトコンドリアはGomoriトリクローム染色で赤く染まる。このような筋繊維である赤色ぼろ繊維(RRF)が見られる。
⑵    MERRF
ミトコンドリアRNAの点変異が原因である。好発年齢は小児〜60歳(半数以上は小児期)である。ミトコンドリア脳筋症の共通症状に加えてミオクローヌス、けいれん、小脳失調が見られるときにMERRFを考える。
⑶    CPEO
ミトコンドリアDNAの一部欠失が原因である。母系遺伝ではなく、ほとんどが孤発例である。ミトコンドリア脳筋症の共通症状に加えて、眼瞼下垂、外眼筋麻痺、網膜色素変性症、心伝導障害があるときに、これを考える。特に、外眼筋麻痺、網膜色素変性症、心伝導障害の3徴を合併したものを、Kearns−Sayre症候群(KSS)という。

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