腸回転異常症

腸回転異常症(intestinal malrotationは胎生期の発生段階における中腸(十二指腸~横行結腸中部)の回転異常によりLadd靱帯(十二指腸と盲腸の間に形成される異常な靱帯)が十二指腸下行脚を圧迫することにより腸閉塞をきたすものである(発症頻度は50007000例に1例)。腸回転異常症は通常生後1ヶ月以内に発症し、胆汁性の嘔吐と粘血便をきたす(これに対し、腸重積症は生後数ヶ月~2歳くらいの乳幼児に多く、腸回転異常よりも発症は遅めである)。

腸回転異常症の約70%は腸軸捻転(十二指腸の周りに盲腸が絡みつく)を伴い、そこから絞扼性イレウスを起こして広範囲の腸管壊死をきたしうるので緊急性を要する。

腹部X線を行うと、十二指腸閉塞によりdouble bubble signが見られるほか、腸軸捻転を起こしている症例に対して上部消化管造影を行うと、corkscrew signや十二指腸・空腸の右方偏位(Treitz靱帯が形成されていないことによる)を生じる。

治療は、開腹手術によりLadd靱帯を切離し、腸回転を修復することである。特に、中腸軸捻転を合併した場合には緊急開腹手術が必要となる。

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