冠攣縮性狭心症
冠攣縮性狭心症は、冠動脈の攣縮を原因とする狭心症で、夜間〜早朝、安静時に発作(狭心痛)が好発する。発作時には一過性の虚血性心電図変化(ST上昇または下降)がみられる。
臨床
- 冠危険因子(特に喫煙)、多量の飲酒習慣などを持つ人に好発する。
- 主に夜間〜早朝の安静時に前胸部絞扼感・圧迫感が数分〜15分持続する。(労作性狭心症よりも長く持続することが多い)
- 発作は過換気や飲酒により誘発されたり、早朝の運動時に生じることもある。
- 発作時、心電図でST上昇または下降を認める。冠攣縮により完全閉鎖が生じて貫壁性の心筋虚血をきたすとST上昇がみられ(異型狭心症)、狭窄の程度や側副血行路の発達によっては非貫壁性の心筋虚血となりST下降がみられる。
- 血液検査で、心筋傷害マーカーの上昇はない。
- なお発作は安静時に好発するが、労作時にも起こりうる。
診断
- 心電図変化ぎ明らかでない場合は、冠動脈造影(CAG)下の冠攣縮薬物誘発試験(アセチルコリン、エルゴノビン注入)で、冠攣縮発作の誘発がみられれば確定診断となる。
- なお、冠攣縮薬物誘発試験において、症例によっては冠攣縮が広範囲に誘発されたり遷延することがあり、この場合、硝酸薬(ニトログリセリンなど)の冠動脈内注入によって冠攣縮発作を解除する。
治療
薬物療法による発作の寛解および予防が主体となる。
1.薬物療法
1.薬物療法
- 発作時の使用:速攻型の硝酸薬(ニトログリセリンの舌下投与など)
- 発作の予防:Ca拮抗薬、硝酸薬
- なお、β遮断薬は、β受容体遮断により血管拡張作用が抑制されら冠攣縮を悪化させるため、単独投与は避ける。(Ca拮抗薬との併用は可)