切迫早産

切迫早産とは妊娠22週以降37週未満の時期に規則的な子宮収縮と頸管熟化がみられ、早産の危険が高い状態のことを言う。原因の大半は絨毛膜羊膜炎(CAM)である。妊娠22週から37週に自覚症状として下腹部痛・性器出血・破水が見られる。また、血液検査で顆粒球エステラーゼ活性の上昇、癌胎児性フィブロネクチンの上昇などの早産マーカーが見られる。また、正常妊婦の頸管長は妊娠の経過に伴って妊娠30週未満では3540mm、妊娠3240週では2532mmと徐々に短縮していく。一方、切迫早産の場合、32週よりも前から頸管の短縮が見られる。特に24週未満で頸管長が25mm以下であれば早産のリスクが高い。切迫早産のうち3050%は入院管理を行っても早産に進行する。基本的には前期破水の有無を中心に、妊娠週数、子宮収縮の状態、胎児の状態、感染の有無、頸管所見などを統合的に判断して治療方針を決める。

前期破水がなく、妊娠週数が34週以降の場合は経過観察を行う。34週未満の場合は可能な限り妊娠の継続をする。一方、前期破水がある場合で、妊娠週数が34週以降で破水後24時間以内に陣痛がきた場合は自然分娩を行う。陣痛が来ない場合は陣痛の誘発を行う。破水があり、妊娠週数が34週未満の場合は可能な限り妊娠の継続をする。

妊娠の継続には安静、子宮収縮抑制薬、感染への対策が基本である。破水や分娩の抑制をするためには、子宮収縮抑制薬(塩酸リトドリン、硫酸マグネシウム)、エラスターゼ活性を抑制する頸管熟化の抑制薬(ウリナスタチン)、破水後の感染を予防する抗菌薬を用いる。また、胎児の肺の成熟を促進しサーファクタント活性を増加させることで出生後の呼吸窮迫症候群を防ぐために、副腎皮質ステロイドを用いる。ステロイドは肺のほかにも脳や皮膚、消化管の成熟を促進させる。ただし、妊娠34週以降の場合は胎児の臓器は成熟しており、また投与することによって羊水感染のリスクを上げてしまうため、ステロイドの投与は行わない。

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