子宮筋腫

子宮筋腫を構成す平滑筋に発生する良性腫瘍(平滑筋腫)で、発生、増大にエストロゲンが関与する。婦人科疾患の中で最も多く、生殖年齢の女性も20〜30%にみられるとされる。ほとんどは子宮体部(約95%)に発生し、多発することが多い。(60〜70%)子宮筋腫は、筋腫の発育方向によって筋層内筋腫、漿膜下筋腫、粘膜下筋腫に分けられ、この順に多い。悪性化することは稀である。
子宮筋腫の約半数は無症状で経過する。主な症状としては、過多月経、月経困難症、不妊の3徴を訴えることが多い。症状がある場合、症状から筋腫の発生部位が推定できる。筋層内筋腫の場合、筋腫の発育によって子宮が増大、変形し子宮の収縮が妨げられることにより、月経血の排出が障害される。その結果、子宮収縮が増大し月経時の下腹部痛や腰痛、過長月経がみられる。
漿膜下筋腫の場合、無症状のことが多いが、発育・増大すると周辺臓器を圧迫したり、茎捻転を起こして急性腹症やショックに陥ることがある。粘膜下筋腫の場合、子宮内膜の粘膜下に腫瘤ができ、子宮内に向けて発育するため、最も症状が強い。
また、巨大な筋層内筋腫や漿膜下筋腫は発育、増大に伴い周辺臓器を圧迫し、水腎症・尿閉、頻尿・排尿障害、腰痛、便秘など様々な症状が見られることがある。
内診で形状が不整で硬く腫大した子宮を触れることや、MRI・超音波・子宮鏡などで骨盤内に充実性の腫瘍が認められる。
高頻度に子宮腺筋症を合併し、約20%に子宮内膜症との合併がみられる。
子宮筋腫の約半数は無症状で経過し、またエストロゲン依存性なので閉経後後は縮小する。そのため、症状が強い場合、腫瘍が大きい場合などは治療を行うが、症状が軽度であるものは経過観察とする。悪性の疑い(急激に増大する腫瘍など)がある場合は、軽症でも単純子宮全摘術を行う。悪性の疑いがなく、腫瘍径が8cm以下で症状として過多月経による高度の貧血や圧迫症状などが見られ、挙児希望がない場合は子宮全摘術を行う。挙児希望がある場合は筋腫核出術やGnRHアゴニスト(下垂体機能を抑制し卵巣からのエストロゲン産生を低下させ筋腫を縮小させる。)療法を行う。

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