急性冠症候群
動脈硬化により形成された不安定プラークが破綻し、そこに血栓ができることによって冠動脈内腔が急激に狭窄もしくは閉塞することをいう。繊維製皮膜の脆弱化や冠攣縮により不安定プラークが破綻し、血栓が血管を閉塞しないようにして形成された場合が不安定狭心症、血栓が血管を閉塞してしまった場合が急性心筋梗塞となる。
ACSは緊急の対応が必要であり、初期に心電図上でSTが性状あるいは下降を示すもの(非ST上昇型)と上昇するもの(ST上昇型)に大別して、早急に治療を行う。ST変化は異常Q波よりも早く早期に出現する。
ST下降は心内膜下の虚血(冠動脈の狭窄)を、ST上昇は心筋壁全層の虚血(冠動脈の完全閉塞)を示す所見として重要である。非ST上昇型(不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞)の場合は、軽症のものからショックに至る重症のものまで幅広いので、臨床所見から重症度を判断しリスクに応じた治療を選択する必要がある。最終的な診断は心筋壊死の有無を心筋障害マーカーなどから判断して行う。