悪性黒色腫

メラノサイトの悪性腫瘍で、皮膚腫瘍の中で特に悪性度が高い。末端黒子型、結節型、悪性黒子型、表在拡大型の4つの病型があり、日本人には前二者が多い。発生母地として、巨大先天性色素性母斑、悪性黒子、色素性乾皮症などがあげられる。誘因として、紫外線、外傷、物理的刺激などがある。どこの皮膚にも発生するが、日本人では足底指趾爪部が多い。皮膚以外の口腔、脈絡膜や結膜にも発生する。中年以降に多いが、若年者に生じることもある。
症状としては、斑状の色素性病変が徐々に拡大し、形、色調の変化が見られる。後に隆起して結節性病変を生じ、ときにびらん、潰瘍をきたす。色素性母斑(ほくろ)と見た目があまり変わらないため、鑑別が非常に重要である。鑑別点としては、
Asymmetrical(非対称性)
Border(辺縁不整)
Color(色調の濃淡が混在している)※黒色調の強さではないことに注意
Diameter(直径が6mm以上)
Elevation(隆起)
の5点が挙げられる。
早期にリンパ行性に転移し、遠隔転移もきたしやすい。特に、脳や肺に転移することが多い。
診断は視診を原則とする。できない場合は、大型の場合を除き、全摘して診断する。診断が確定したら速やかに根治術を行う。また、他の色素性病変との鑑別のために、ダーモスコピー有効である。悪性黒色腫では、皮丘優位の色素沈着、非定型色素ネットワークなどがみられる。ちなみに、色素性母斑では皮溝優位の色素沈着が見られる。
(※色素ネットワーク→ダーモスコピーで観察される網目状の色素沈着パターンのこと。対称のものを定型、非対称で網目構造が不均等なものを非定型という。)
組織像では、大型で不整形の核を持つ異形メラノサイトの表皮、真皮での増殖が見られる。また、S—100、HMB45などの免疫染色も診断に有用である。血中、尿中のマーカーとして、メラニン生成の中間産物である5—S—CDが有用である。病態の進行に伴い上昇する。腫瘍細胞を散布する恐れがあるため、生検は原則禁忌である。
治療としては広範囲切除を行うのが一般的である。進行例では放射線、化学療法などが行われるが、有効性は乏しい。

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