成人Still病(ASD)

16歳以上の成人にあらわれる、若年性特発性関節炎(JIA)の全身型(Still病)に類似した病態を示す疾患。成人で不明熱をきたす代表的な疾患のひとつである。

臨床

  • 成人Still病には若年性特発性関節炎(JIA)の全身型(Still病)が成人まで遷延した例と、成人になってから全身型JIA様の症状が発症した例(成人発症Still病)とが含まれる。
  • わが国では女性にやや多く (男女比およそ1 :2) 、20~30歳代の比較的若い成人に多く発症する傾向にある。
  • なお、病因は不明であるが、ウイルスなど何らかの感染症が誘因であるという説がある。
  • ピーク時に39℃を超える弛張熱が特徴的で、成人が不明熱を呈する疾患として重要である。
  • 本症では(JIAにはみられない)強い咽頭痛が高頻度でみられるのが特徴である。そのほか,全身型JIAと共通してサーモンピンク皮疹、リンパ節腫脹、肝脾腫、漿膜炎などがみられる。
  • 関節炎は手関節などで関節破壊を伴うことがある。
  • 検査上の所見としては、血清フェリチンの著増(基準値の5倍以上)、リウマトイド因子(-)、抗核抗体(-)、強い炎症所見(WBC>10,000/μL)、肝機能障害がみられる。
  • 生命予後は一般的に良好であるが、一部難治性の症例があり関節に障害を遺す場合があるほか、再発性のケースが多くある。
  • 重症例ではまれに続発性アミロイドーシスや播種性血管内凝固(DIC)をきたし、生命予後に影響をおよぼすことがある。

治療

  • まずNSAIDsを投与して経過を観察し、改善がみられない例にはステロイド投与を行う。
  • なお、NSAIDsのみで寛解に至る例もあるがまれであり、ほとんどの症例ではステロイド投与を必要とする。

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