水痘

水痘・帯状発疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)による感染症である。空気感染するウイルスの代表的なもので、感染力が強い。小児期にかかることが多い予後優良な疾患だが、成人が罹患すると重症化しやすいため注意を要する。一般には水疱瘡(みずぼうそう)としても知られる。学校保健安全法による第2類感染症に分類されている。

臨床像

  • 2〜8歳の小児に好発する。
  • 飛沫核感染(空気感染)による上気道からの感染が主である。
  • 約2週間の潜伏期ののち、かゆみを伴う発疹が次々とでき、発熱、全身倦怠感とともに体幹を中心に、紅斑→水痘→膿疱→痂皮形成の各段階の発疹が混在してみられる。最初の発疹から7日ほどで最後の発疹が痂皮化する。なお、発熱が発疹に先行することも多い。
  • 痂皮化するまでは感染力をもつため、学童の場合は全水疱が痂皮化したら登校できる。
  • 治癒後も神経節などに水痘・帯状発疹ウイルスは潜伏し、免疫低下時や疲労、ストレス時に再賦活し帯状発疹を発症することがある。

診断

  • 確定診断はELISA法による特異的抗体の検出による。

合併症

  • ときに、水痘髄膜脳炎、急性小脳失調症などを合併する。
  • 成人や免疫力の低下した患者では重症化しやすく、肺炎を合併する場合がある。
  • 小児期へのアスピリンの投与はReye症候群を引き起こす可能性があるため、水痘感染時の投与は避ける。
  • 白血病患者が感染すると重症化し、時に致死的になる。
  • 妊婦が妊娠初期(8〜20週目)に感染すると2%ほどの胎児に先天性水痘症候群として低体重出生、四肢の形成不全、皮膚瘢痕、部分的筋肉萎縮、脳炎、小頭症、白内障などの症状が現れる。

治療

  • 対症療法が原則となる。
  • 免疫力の低下した患者には抗ウイルス薬のアシクロビルやバラシクロビルを用いる。

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