涙囊炎
涙囊炎には新生児涙囊炎と急性涙囊炎と慢性涙囊炎に分類される。
① 新生児涙囊炎(先天性鼻涙管閉塞)
先天性に鼻涙管下端が膜状組織(Hasner弁)により閉塞した状態である。生下時より流涙、眼脂が出現する。細菌感染を起こした場合は膿となって悪臭を放つ。治療としては、プジーを涙点から鼻涙管まで挿入する涙道プジーによって鼻涙管閉塞部位を開放する。
② 急性涙囊炎
涙囊に細菌感染(肺炎球菌、ブドウ球菌など)を起こし、感染が涙囊周囲に波及して、蜂巣炎を起こした状態をいう。内眼角部の皮膚が緊張・発赤・腫脹して疼痛を生じる。治療は抗菌薬の内服、プジーや切開排膿、涙囊摘出、涙囊鼻腔吻合術などがある。
③ 慢性涙囊炎
鼻涙管狭窄、閉塞に細菌感染を合併し化膿したものである。高齢者に多く、通常は片側性である。昔はトラコーマの合併で起こるものが多かったが、最近は特発性のものが多い。症状としては、流涙、眼脂、涙囊部圧迫による涙点からの膿の排出が見られる。治療として歯抗菌薬液による涙囊洗浄、涙道プジーによる鼻涙管狭窄の拡張を行う。難治例では涙囊鼻腔吻合術術が行われる。