混合性結合組織病(MCTD)は、SLE/SSc/PM/DMの臨床症状を併せ持つものである。抗U1-RNP抗体が高率に検出され、肺高血圧症を高頻度に合併することが特徴である。日本では女性に圧倒的に多く(90%以上)、発症年齢は20~50歳代が中心で、30歳代にピークがある。
MCTDの診断基準は以下のとおりである。
Raynaud現象、手指ないし手背の腫脹、肺高血圧症のうち1所見異常が陽性
抗U1-RNP抗体陽性
SLE様所見(多発関節炎、リンパ節腫脹、顔面紅斑、心膜炎または胸膜炎、白血球又は血小板の減少)、SSc様所見(手指に限局した皮膚硬化、肺線維症、拘束性換気障害または肺拡散能低下、食道蠕動低下または拡張)、PM様所見(筋力低下、筋原性酵素↑、筋電図における筋原性異常所見)の2項目以上につき、それぞれ1所見異常が陽性。
MCTDの症状としてRaynoud現象はほぼ全例に、手指・手背の腫脹は約80%の症例に見られる。本省の予後因子として最も重要な病変は肺高血圧症である。診断には労作時息切れやⅡp音更新の有無を見たり、肺動脈カテーテルやドプラ心エコーなどの検査法が用いられる。特殊な症状として無菌性髄膜炎や三叉神経障害といった神経症状がみられることがあり、注意が必要である。(イソプロフェンなどの消炎鎮痛薬が無菌性髄膜炎を誘発することがある。)
MCTDの治療の中心はステロイドで、投与により多くの症状は軽快する。ステロイド抵抗性の症状に対してはそれぞれの症状に適した薬剤を選択する。肺高血圧症に対しては、早期には大量のステロイドが効く場合もあるが、基本は原発性肺高血圧症の治療に準じる。らyなうd減少などの末しょう循環障害には血管拡張薬を、関節炎にはNSAIDsを投与する。