結節性多発動脈炎(PN)

全身の中小動脈を侵す壊死性血管炎を主病態とし、中高年男性にまれに生じる原因不明の
疾患である。全身の諸臓器にわたり多彩な症状をきたす。

臨床

  • PNは主に中〜小動脈を侵す壊死性血管炎で、全身の血管が侵されることによりあらゆる臓器が障害される可能性がある(肺病変は少ない)。
  • 血管の炎症による非特異的症状と、各臓器の局所的な症状がある。
  • わが国の患者数は推定、数百名程度とまれな疾患で、40〜60歳の患者が多い。
  • 早期より適切な治療を行えば寛解に至ることもあるが、治療が遅れると腎不全、消化管出血、穿孔や脳出血などで死亡したり、重篤な臓器障害を残すことがある。
  • 無治療の場合、5年生存率は15%程度であり、予後不良な疾患である。
  • PNの臨床的な症状は非特異的なもの(全身症状)と特異的なもの(臓器症状)に大別される。
  • 臓器症状は炎症、出血、梗塞の3病態からなる。
  • 炎症は好中球の浸潤により炎症が生じるもので、多発関節炎、多発筋炎、多発性単神経炎がある。
  • 出血は血管壁が障害され出血が生じるもので、脳出血、消化管出血、紫斑などがある。
  • 梗塞はフィブリノイド変性、血栓形成、繊維化などにより梗塞が生じるもので、脳梗塞、心筋梗塞、腎梗塞、消化管穿孔などがある。
  • また、全身症状として発熱、体重減少、全身倦怠感がある。
  • 非特異的な全身症状と臓器の炎症・出血症状は組織学的にⅠ・Ⅱ病期の血管変性を反映したものであり、臓器の梗塞症状はⅢ・Ⅳ病期の血管の虚血を反映したものである。
  • 検査所見として、WBC↑、血小板↑、赤沈↑、CRP強陽性、血清補体価↓などがみられる。

治療

  • 重症例では、ステロイドパルス療法が行われる。
  • 臓器症状が軽微な例や、治療効果があった例では、プレドニゾロン経口漸減投与を行う。
  • 治療無効例では免疫抑制薬(シクロホスファミド)を用いる。

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