関節リウマチ

発症原因はまだ特定されていないが、遺伝的素因と環境因子(タバコ、口腔内最近など)の二つが関与していると考えられている。遺伝的素因に環境因子が加わり、T細胞を中心とした自己免疫応答(抗CCP抗体)が誘発されると、関節滑膜に炎症細胞が集まり、関節炎が生じる。
関節炎の初期の段階では、炎症を起こした滑膜が血管新生を起こしながら増殖を始め、その炎症反応のために関節腔内の水分量が増す。それによって関節が腫脹し疼痛をきたす。炎症が増悪し、慢性化していくと、炎症細胞から分泌されるサイトカインにより、破骨細胞が活性化されることにより骨破壊が亢進する。これによって徐々に関節裂隙の狭小化が進み、関節可動域制限が進む。さらに、炎症が末期にいたると、関節は亜脱臼や強直などの変形を起こし、機能しなくなる。
症状としては大きく分けて関節症状と関節外症状がある。手関節、手足の小関節(MCP関節・PIP関節など)や膝関節に好発する。DIP関節にはあまり発症しない。左右対称性に起きることが多い。進行すると、肩・肘・股関節などの大関節や頚椎の環軸関節にも症状が生じる。自覚症状としては、腫脹・圧痛・熱感のほか、朝など関節の動かし始めにぎこちなさを感じるこわばりがある。進行すると関節変形や動揺性が見られ、歩行や日常生活に支障をきたすようになる。代表的な手指の変形には以下のものがある。
(•スワンネック変形⇨PIP関節の過伸展、DIP関節が過屈曲する。
  •ボタン穴変形⇨PIP関節が過屈曲、DIP関節が過伸展する。
 •尺側扁位⇨MP関節の弛緩と伸筋腱の尺側脱臼により関節に亜脱臼が生じ、尺側に変形する。)
関節外の合併症として多いのは、間質性肺炎や悪性リウマチで見られる血管炎や皮膚潰瘍などである。
診断には、X線写真や血液検査を用いる。X線写真では、軟部組織の腫脹、関節周囲の骨萎縮、関節辺縁のびらん、関節裂隙狭小化、関節面の破壊、関節亜脱臼・脱臼が見られる。血液検査では赤沈やCRPなど炎症反応を反映する酵素の値が上昇し、リウマトイド因子・抗CCP抗体が陽性となる。
また関節リウマチの新分類基準としては以下のようになっている。
①    予備診断
一つ以上の関節腫脹を認めること、関節腫脹をきたすリウマチ以外の診断が除外できること
②    スコアリング⇨各所見を点数化して判定
•関節病変(小関節の方が大関節よりも予後不良)
•血清学的検査(リウマトイド因子・抗CCP抗体)
•罹病期間
•炎症性マーカー(CRPなど)
治療には基礎療法(生活指導・安静・保温など)、薬物療法(滑膜の炎症を抑えるメトトレキサートなど)、生物学的製剤(自己免疫が誘発するサイトカインネットワークを断ち切る。)、手術療法、リハビリテーションがある。

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