膝靭帯損傷

スポーツ、交通事故などで膝関節の正常可動域を超えた動きを強制された時や、正常の範囲内でも急速な回旋が加わることによって生じる。内側側副靱帯損傷は膝の靭帯損傷の中で最も頻度が高い。
①    前十字靭帯損傷
スポーツ活動中(着地時)に多く、受傷時、激痛とともにブツッという断裂音を体感する。数時間以内に関節が著しく主張し、関節血症を認める。40〜60%に半月板損傷が合併する。慢性期になると、膝の不安定感、突然膝がガクッとなる膝くずれや疼痛が見られるためスポーツ活動に支障をきたすことがある。前方引き出しテストで、前方に動揺を認め、Lachmanテストで前方への動きや痛みが生じる。診断にはストレスレントゲンを用いることが多い。
(※前方引き出しテスト⇨仰臥位、膝関節90度屈曲位で脛骨近位部の動揺をみるテスト。)
(※Lachmanテスト⇨仰臥位で膝関節を30度屈曲させ、やや外旋させながら膝関節の上部と脛骨前部を押さえながら引き出しを行う。)
治療としては、自家腱や人工靭帯を用いた靭帯再建術などの観血的治療を行うことが多い。スポーツへの復帰には通常半年〜1年ほどかかる。
②    後十字靭帯損傷
バイクなどの交通事故や、乗用車の正面衝突のときにダッシュボードに膝を強く打ち付けることで生じる外傷である。機能障害は前十字靭帯損傷に比べて少ない。後方引き出しテストで後方に動揺を認め、Sagging兆候となる。
(※後方引き出しテスト⇨仰臥位、膝関節90度、屈曲位で脛骨近位部を後方に押し、動揺をみるテスト。)
(※Sagging兆候⇨後方へのストレスをかけなくても、膝関節90度屈曲位で脛骨近位端が後方に移動しており、腱側に比較して脛骨粗面部の後方落ち込みが見られること。)
治療としては、装具療法と大腿四頭筋の筋力訓練による保存的治療が主である。
③    内側側副靱帯損傷
スキーやコンタクトスポーツで多く、損傷部位は大腿骨付着部が多い。外反ストレステストで陽性となることが特徴である。
(※外反ストレステスト⇨仰臥位、膝関節30度、屈曲位で動揺性をみるテストである。膝外反を強制すると動揺性が認められると陽性となる。)
十字靭帯損傷を合併すると、関節血症が見られることもある。治療としては、保存的治療が主であるが、他の十字靭帯損傷を合併しているときは手術も考える。

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