菊池病
症状、疫学
組織球性壊死性リンパ節炎(histiocytic necrotizing lymphadenitis)とも呼ばれる。 前駆症状として扁桃腫大を伴う上気道症状が出現し、 それと前後して、圧痛を伴う主に頚部リンパ節腫脹を来たす。約40%の症例に38°C以上の発熱を認める。 リンパ節腫脹は頚部に限局しており、多くは一側性で ある。約5%は全身表在リンパ節腫脹を認める。 薬疹様の皮疹を約20%の症例に認め、多くは1-2か月以内に治療と関係なく治癒するが、 数か月~数年後に約5%の症例が再発する。 20~30歳代の比較的若い女性に好発し、女性が男性の約2倍を占める。 血液検査では白血球減少、異型リンパ球の出現、赤沈亢進、AST/ALT/LDH/CRP上昇を認める。 稀に汎血球減少とともに血球貪食症候群を来たす。
組織像
リンパ節の副皮質から皮質にかけて、巣状ないし広範に広がる境界が比較的明瞭な壊死巣を認める。壊死巣に芽球化した大型リンパ球と組織球が増殖するが好中球の浸潤はみられない。
病因
トキソプラズマ、エルシニア、EBV、CMV、HIV、 HHV-6、HHV-8などの関連が疑われてきたが、 直接的な原因は、不明である。
東洋人に多くみられ、白人・黒人には 極めて稀である。
治療
特異的な治療法はなくて、対症療法が中心となる。 高熱がみられ、症状が重篤な場合には、ステロイド を投与する。