血液透析

血液透析は、透析器(ダイアライザー)の中で管状の半透膜に血液を流し、周囲を流れる透析液との間で透析を行う方法である。透析液はあらかじめ各物質の濃度が調整されており、拡散による物質の移動が生じる。透析液の排出口から陰圧をかけることで限外濾過が生じ、水およびナトリウムなどが透析液側に移動する。血液と透析液の濃度が等しい物質は移動しない。半透膜は細孔のサイズが小さいため、血球や中~大分子物質は移動しない。透析効率は高いが、透析前後で体液組成の変動が大きく、心血管系や腎機能に負担をかけるため、残存腎機能の低下が早い。食事制限は厳しく、持続可能期間は半永久的である。
通常、血液透析では150~300ml/分の大量の血液を取り出す必要があり、その経路(ブラッドアクセス)として、内シャント(自己血管を用いた動静脈婁)が用いられる。内シャントは通常、橈骨動脈と橈側皮静脈を吻合して作る。こうすると動脈血が吻合部を通って静脈血管内に流れるようになり、2週間ほど経つと静脈血管が怒張して太くなって透析に適した穿刺しやすい血管になる。また、人工血管を用いて内シャントを作成する場合もある。急性血液浄化(急性腎不全に対する持続血液濾過透析など)ではブラッドアクセスとしてない頸静脈や大腿静脈を選択することもある。
血液透析は通常、週3回通院して1回あたり約4時間の透析を行う。1回の透析による束縛時間は長いが、透析のない日はほぼ日常通りの生活を送ることができる。
血液透析は体液の組成が急激に変化するため、透析中や透析直後に合併症が生じやすい。
特に、不均衡症候群や低血圧が起こりやすい。そのほか血液中の電解質の急激な変化による不整脈、全身倦怠感、筋けいれんなどを生じることがある。
不均衡症候群とは、小分子の急激な減少により血漿の浸透圧が低下し、組織へ水分子が移動するころにより脳浮腫の症状が現れることをいう。初回の透析時や急速に透析を行った場合に起こりやすい。緩徐な透析や浸透圧物質(濃グリセリンなど)の投与により予防する。
低血圧は、透析時の除水量が多いことで生じる。ドライウェイト(※)を適切に設定し、透析間の体重増加を少なくすることで予防する。
※ドライウェイト・・・透析療法を行う上で、除水量を定めるための目標体重、7のことである。臨床的には、①それ以上除水すると急激な血圧低下が起こる体重、②浮腫や肺うっ血のみられない体重のことを言う。目標設定が厳しすぎれば血圧低下や脱水が
起こり、甘すぎれば浮腫や高血圧が起こる。

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