口唇裂
≪病態≫
唇顎口蓋裂は先天的に鼻中隔や一次口蓋が癒合不全を起こし、口唇、上顎、口蓋に裂孔を残すものである。口唇裂では胎生4~7週の、口蓋裂では胎生10週までの胎児への影響が重要となる。唇顎口蓋裂では審美障害に加えて構音障害が問題となるため、正常言語能獲得のために積極的に治療する必要がある。
≪治療≫
口唇裂の治療は全身麻酔が安全に行えるようになる3ヶ月頃、体重6kgに成長したころに行う。術式としては三角弁法、Millard法(片側)、Mulliken法(両側)等がある。
口蓋裂の治療は1~2歳で体重が10kgになったころに行う。この頃から言葉を覚え始めるが、術期が遅れれば構音障害を引き起こし、早期手術では骨への侵襲から成長障害を引き起こす可能性がある。術後も開鼻声が残る場合は言語聴覚士による言語訓練が必要となる。
上顎骨に欠損がある場合、7~9歳の永久歯(犬歯)の萌出時期に合わせて顎裂部へ骨移植を行い、上顎骨に連続性を持たせ、歯並びも改善する。
唇裂鼻に対する手術に関しては早期に行えば、鼻の成長障害が起こるため、審美的な側面と考えあわせて手術時期を決定する。
≪合併症≫
口蓋帆張筋低形成による耳管性中耳炎。