Valsalva洞動脈瘤破裂
Valsalva洞動脈瘤とは、Valsalva洞の一部が瘤化したものをいい、破裂したものをValsalva洞動脈瘤破裂という。右冠動脈洞、無冠動脈洞が弱いために、そこに生じた動脈瘤が成人期に主に右心室へ破裂し、左→右シャントをきたす疾患発症が急激であり、心筋梗塞、大動脈解離などとの鑑別を念頭におかなければならない。シャント量が多い場合、急速な心拡大、心不全をきたすことがある。なお男性に多い。
臨床
- 動脈瘤の破裂により、突然に発症する動悸、呼吸困難、胸痛などの症状がみられる。
- 大脈・速脈(反跳脈)がみられ、聴診では前胸部で連続性雑音を聴取する。
- さらに胸部X線像では左第2弓の突出、肺血管陰影の増強がみられる。
- 大動脈弁閉鎖不全症(AR)や漏斗部心室中隔欠損(VSD)"との合併が多く、特に右冠動脈洞→右室シャント例の多くにVSDを合併しており、心エコーでの診断が困難であれば大動脈造影や左室造影が必要となる。
- 破裂は20~30代に起こることが多く、破裂するまでは基本的に無症状である。
診断
- 確定診断のために、カラードプラ心エコーで、開口部とシャントの確認を行う。
- エコーでの診断が不確定のときは、心カテーテル検査や大動脈造影などを行う。
治療
早期に外科的手術を行う。
- 動脈瘤切除後、瘻孔を閉鎖
- VSDがあれば閉鎖
- 必要に応じて大動脈弁置換、ARがあれば大動脈弁形成