YAGレーザー

レーザー(LASER)

「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」 (光放射の強制誘導放出による増幅された光)の頭文字をとったもの 

1960年代にMaiman(異論もある)により最初に開発された、誘導放射による増幅を用いた可干渉な光源である

原理;

レーザ媒質中に基底状態で存在する原子が、外部からのエネルギー(光等)を吸収すると励起状態となり、一定時間後に光を放出して再び基底状態に戻る。このときのエネルギーの差が放出される光の波長を決定し、各波長はレーザ媒質に含まれる原子に固有のものとなる

レーザ媒質に対する強力なエネルギー供給で、励起状態の原子数を増やし(ポンピング)、基底状態の原子数を上回った状態を、“反転分布状態”といい、この状態で外から同じ周波数の光信号を送ると、励起状態の原子が連鎖反応的に同一方向に向けて光を放出し、より強い光信号が得られる。これを光増幅という レーザ媒質を2枚のミラーで挟み込み、その間で光を繰り返し往復させることにより光は更に増幅する。増幅された光は片側の部分反射ミラーから最終的にレーザ光として取り出される

通常は

・駆動源(固体レーザーの場合、フラッシュランプ)

・利得媒質(ルビー、ガラス等のレーザーを増幅する媒質)

・反射鏡(誘導放射をさせるために光を閉じ込める)の3構成要素からなっている

いわゆる普通の光との違いは、コヒーレントな性質を有すること つまり

「単一の波長による単色性」 「同位相による干渉性」 「光が集中して拡散しない指光性」の 3つである

太陽の光はプリズムにより赤から紫までの多数の色に分離するが(実際は可視光線以外にも多種の波長を含むが)これは波長の混在したものであるからであり、それに対しレーザーは1つだけの波長の光(単波長)を取り出して増幅させたものである

また、自然光である太陽光はすべての方向に拡散するのに対し、レーザー光は一点に絞り込んだ線状の光線である。したがって(理論上は)拡散することなく絞ったビームのまま無限遠まで到達する

ただし、工学上の理由から1㎛以下の光束にすることは事実上不可能であるが、逆にレンズで1点に収束させた場合には、極めて大きなエネルギーに変換しうる

YAGの意味は"イットリウム・アルミニウム・ガーネット"の略でネオジウムなどを含ませることで利得媒質、レーザー結晶となる

レーザーの原理を予言したのはEinsteinであるが、レーザーの実際の発振に成功したのは60年にMaimanがルビーレーザーで成功した 医学の応用はかなり早期から始まり翌61年には、網膜剥離で眼科に応用され、 64年にはGoldmannによって赤アザの治療で皮膚科に応用され、68年にはレーザーメスとして活躍している炭酸ガスレーザーが発明され、70年には膀胱結石の手術にレーザーが使われた

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