イレウス(腸閉塞)

何らかの原因により超内容物の通貨が障害された状態をイレウスと呼ぶ。イレウスは病態によって以下の4つに分類される。
機械的イレウス (90%) ⇒ 単純性(閉塞性)イレウス (45%) ・・・(1)
   ⇓
複雑性(拘束性)イレウス (45%) ・・・(2)
機能的イレウス (10%) ⇒ 麻痺性イレウス ・・・(3)
   ⇓
攣縮性イレウス ・・・(4)
この4つの病態に共通する症状としては、排ガス・排便の停止、腹部膨満、嘔吐。脱水がある。
[Ⅰ]機械的イレウス・・・腸管が機械的(物理的)に閉塞した病態
①    単純性(閉塞性)イレウス
腸管の閉塞をきたす機械的イレウスのうち、腸間膜血流の停止がないものである。主な症状としては間欠的な疝痛、悪心、嘔吐、排ガス・排便の停止、腹部膨満がみられる。原因として最も多いのは術後(十二指腸切除・虫垂炎・婦人科手術・腹膜炎手術など)・外傷・炎症などによる腸管癒着によるもので、50-60%を占めている。好発部位は小腸である。
腹部聴診で金属音が聴取され、立位単純X線像にて、多数の腸管ガス像とniveauを認める。特に、開腹術の既往がある患者には注意する。
ほとんどが内科的(保存的)治療で治癒する。保存的治療法としては、イレウス管による腸管内容物の吸引・減圧、輸液による脱水と電解質の補正、抗生物質の投与がある。
②    複雑性(拘束性)イレウス
腸管の閉塞をきたす機械的イレウスのうち、腸間膜血流の停止により腸管壊死を伴うイレウスである。なので、急激に病状が悪化するため緊急手術を要する。
腸壊死が起こると、穿孔や感染をおこし急性腹膜炎(筋性防御、Blumberg徴候)にいたり、腸管麻痺を起こして、麻痺性イレウスに移行したり、ショックに陥ることもある。
腹部X線像では、niveau形成が重要で、このほか小腸の閉塞では、Kerckring壁が、大腸の閉塞ではハウストラがみられる。
原因としては腸重積症、ヘルニア嵌頓、腸軸捻転症、索状物によるもの、Meckel憩室などがある。治療は原則緊急手術により、絞扼の解除、腸管壊死部分の切除を行う。
(※niveau・・・腔内の液体と気体が作り出す水平線を、X線上で線上の陰影として認めること。)
[Ⅱ]機能的イレウス・・・腸管の運動麻痺により腸内容物が停滞する病態
③    麻痺性イレウス
腸管に器質的な変化はないが、腸管壁の神経、筋が影響を受けて腸管運動が麻痺したイレウスである。原因としては、汎発性化膿性腹膜炎、子宮外妊娠、外傷による腹腔内出血、術後腸麻痺、腸間膜血管閉塞などがあげられる。症状は嘔吐、排ガス・排便の停止、腹痛、腹部膨満感と同様だが、腹部聴診にて腸蠕動音の低下が認められることが特徴である。また、腹部単純X線像にてniveauを形成しない多数の腸管ガス像が認められる。
治療としては、腹膜炎など原疾患に対する治療が基本である。イレウスに対しては単純性イレウスと同様保存的治療を行う。また、腸管蠕動を促進させるために、ネオスチグミン・メトクロプラミドを投与する。
④    攣縮性イレウス
腸管が攣縮性に収縮することにより、腸管蠕動オンが低下する病態で、原因としては」、神経衰弱、ヒステリー、鉛中毒があげられる。症状や治療は麻痺性イレウスと同様である。

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