エールリッヒ症
概略
マダニによって媒介される感染症で、突然、発熱、悪寒、頭痛、全身のけん怠感を引き起こす。エールリヒア細菌はリケッチアと同様に、人や動物の細胞内でのみ生きるが、エールリヒアは、白血球(顆粒球や単球など)に寄生する。
米国では南東部と中南部でよくみられ、ヨーロッパでもみられる。マダニが最も活動する春から晩秋にかけて最もよくみられ。、人への感染はマダニに刺されることによって拡大するが、ときに褐色犬ダニまたはシカダニを保有する動物との接触を介して伝播する。
症状
マダニに刺されてから1~2週間後に発生し、発熱、悪寒、激しい頭痛、体の各所の痛み、けん怠感が現れる。病気の進行とともに、嘔吐、下痢、けいれん、錯乱、昏睡、せき、呼吸困難がみられる。
発疹や死亡はまれであり、免疫力が低下している人や治療が遅れた人の場合、死亡することがある。
診断と治療
血液検査では白血球数減少、血小板減少、そして血液凝固の異常がみられ、エールリヒアに対する抗体検査も診断の手助けとなるが、発病後数週間してからでないと陽性反応が出ない。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査がより有効である。患者の白血球に顕微鏡で観察できる独特の斑点ができることもあり、この斑点が観察できる場合はエールリヒアの診断が確定する。
ドキシサイクリン、クロラムフェニコール、テトラサイクリンのいずれもが有効で、治療開始が早いほど有効。