トロサ・ハント症候群( Tolosa–Hunt syndrome; THS)

原因
正確な原因は不明であるが、海綿静脈洞に生じた非特異的炎症性肉芽腫が関連していると考えられている。
症状
症状は通常、片側の頭痛、眼周囲の鋭い痛みと外眼筋麻痺を生じる。
また、顔面神経、眼神経、動眼神経、滑車神経、外転神経の麻痺を示すこともある。他の徴候には発熱、慢性疲労、めまい、関節痛がある。時折、患者は片側または両側の眼球突出の感覚を覚えることがある。
診断
他疾患の除外によって診断される。血液検査、甲状腺機能検査、血清蛋白電気泳動が含まれる。脳と眼窩のMRI撮影, 磁気共鳴血管画像 (MRA) や, CTで海綿静脈洞、上眼窩裂、眼窩先端における炎症の変化を検出する。脳神経麻痺が存在しない場合、眼窩断面像に映る炎症性変化は、眼窩偽腫瘍と称される。確定診断のため、生検が必要になることがある。考慮すべき鑑別疾患には悪性リンパ腫、動静脈瘻、片頭痛、神経鞘腫などがある。
2004年の国際頭痛学会の診断基準には
・無治療で1週間を超える片側頭痛のエピソード
・動眼神経、滑車神経、外転神経のうち1本以上の麻痺
・MRIか生検による肉芽腫の検出
・麻痺が眼痛に随伴するか眼痛の発症後2週間以内に麻痺を認める
・適切なステロイド両方の開始後、72時間以内に眼痛と麻痺が寛解
・原因になりうるその他の疾患の除外
とある。

治療
副腎皮質ステロイド (多くの場合プレドニゾロンが用いられる)や免疫抑制剤 (メトトレキサート、アザチオプリン等)を用いる。免疫抑制剤が自己免疫反応を非活性化するのに対し、副腎皮質ステロイドは炎症性腫瘤を縮小させる。
予後
予後は一般に良く、患者は通常、副腎皮質ホルモンに反応性を示す。眼筋の運動に障害が残る可能性があるが、自然寛解しうる。患者の約30~40%が再発を起こす。

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