マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎Mycoplasma pneumoniaeが飛沫感染することにより生じる肺炎であり、非定型肺炎の中で最も多い。潜伏期間は2〜3週間と他の細菌に比べて長い。


臨床像

  • 健康な若年者(5〜25歳)に好発する。(基礎疾患がない)
  • 細気管支炎による激しく頑固な乾性咳嗽、発熱、胸痛がみられる。
  • ラ音などの胸部診察所見(聴診)に乏しい。
  • 血液検査にて、白血球数不変、赤沈増多、CRP陽性、寒冷凝集反応陽性がみられる。
  • 一般に予後良好であるが、合併症を伴うと重篤になることがある。
  • 感染様式はヒトからヒトの飛沫感染によるもので、集団流行がみられる。

診断


  • 確定診断は、血液抗体価の測定(ペア血清による補体結合反応、間接凝集反応)による。
  • X線所見では左肺野に肺胞性陰影と間質性陰影が混在し、内部にair bronchogramを伴う。いずれも非特異的なため、X線所見のみでの診断は難しい。

治療

  • マクロライド系が第一選択薬となる。
  • テトラサイクリン系、ニューキノロン系、ケトライド系も有効である。
  • ただし妊婦、小児にはテトラサイクリン系、ニューキノロン系は禁忌である。
  • マイコプラズマは細胞壁を欠くため、β-ラクタム系は全て無効である。

合併症

  • Guillain-Barré症候群、Stevens-Johnson症候群、脳炎、髄膜炎、皮膚紅斑などがあげられる。マイコプラズマ肺炎は一般に予後良好であるが、これらの合併症を伴うと重篤になることもある。

注目の記事

エナメル質

エナメル質 エナメル質…歯冠象牙質の表面を覆う、人体で最も高度に石灰化した上皮組織である。人体では唯一の外胚葉由来の上皮性石灰化組織でほとんど無機結晶から構成され、細胞成分を全く含まない。完成した歯 …続きを読む…