ムコ多糖症

先天性に骨、肝臓、脾臓、皮膚、心臓(.弁膜)などの結合組織にいろいろなムコ多糖が沈着し、特異な顔貌、骨変化、関節拘縮、角膜混濁、知的障害、肝脾腫が起こる。本症はリソゾーム酵素異常、つまりリソゾーム病の1つで、臨床症状として、欠損している酵素を皮膚線維芽細胞やリンパ球から調べ、分類、診断する。
新生児期には気付かれず、多くは乳児期や幼児期になって異常を呈する。症状の重いHurler症候群でも、10歳前後で死亡する最重症例から、中間型および軽症型まである。Scheie症候群はHurler症候群と欠損酵素は同じだが、症状は軽度である。Hunter症候群も軽症〜重症まで様々である。ムコ多糖症Ⅰ型を重症→軽症の順に、Hurler型、Hurler-Scheie型、Scheie型の、3つにわける分類もある。本症では、尿中に酸性ムコ多糖体が排泄されるため、トルイジンブルー反応で調べることができる。また羊水診断も可能である。
対症療法と合併症に対する治療が基本である。重症のHurler症候群には骨髄移植が行われる。重症型では精神は退行し、関節拘縮から歩行不能をきたし、最終的には寝たきりとなることが多いため、誤嚥と上気道感染への配慮ポイントとなる。重症型のHurler症候群と、Hunter症候群の主な死因は、肺炎と心不全である。軽症例では、その児童の知能と運動能力に応じたリハビリテーションを行う。近年、Hurler症候群とScheie症候群に対してα-L-イズロニダーゼ製剤を、Hunter症候群に対して胃デュルスルファーゼ製剤を、ほれぞれ静注することで、肺機能、歩行機能などの改善が得られるようになっている。

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