先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)

先天性甲状腺機能低下症は、甲状腺が完全に無形成であっても、出生時は症状を示さない(正常児の30%程度の母体T4が胎盤を通過するため)。TSHの上昇によってマススクリーニングで検出される。
若干の頭囲の拡大、生理的黄疸が長引くことが最初の兆候で、生後1ヶ月ごろに哺乳不良、無関心、傾眠傾向、呼吸困難(巨舌による)がみられる。患児はあまり泣かず、よく眠り、食欲が無く、全体的に緩慢である。また臍ヘルニアが見られる。
骨の成熟も遅れるので、出生時に大泉門や小泉門が大きく開き、大腿骨遠位骨端核を認めないことが多い。治療を行わなければ深刻な発達遅滞および低身長になるが、早期診断と治療で正常児と同等の知能および成長が得られる。

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