免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病(ITP)
免疫学的機序による血小板の破壊亢進の結果、血小板減少と出血傾向をきたす疾患である。
Ⅱ型アレルギーが関与している。急性型と慢性型に分けられ、急性型は小児に多く、慢性型は成人女性や高齢者に多い。
従来は「特発性血小板減少性紫斑病」とよばれてきたが、自己免疫機序が明らかになり
「免疫性血小板減少性紫斑病」となった。近年では必ずしも紫斑がみられるわけではないことから、primary ITP (primary immune thrombocytopenia)ともよばれている。
臨床
急性型
- 6ヶ月以内に自然治癒する。
- ウイルス(麻疹、風疹、水痘、ムンプスなど、)感染後や予防接種後、2〜3週間で、突然かつ急激に発症する。
- 鼻出血・点状出血(紫斑)・歯肉出血などがみられる。
- 2〜5歳の小児に多い。
慢性型
- 寛解と増悪を繰り返す。
- 明らかな誘因はなく徐々に発症する。
- 症状は急性型と同様で、過多月経も認められる。
- 20〜40歳(男女比=1:3)、60〜80歳(性差なし)に好発する。
- H.pyloriの関連が示唆されている。
診断
- 血液検査にて血小板数↓、凝固(APTT、PTなど)正常、赤血球、白血球正常である。
- 血小板関連免疫グロブリンG (PAIgG)↑がみられる。
- 骨髄所見にて巨核球↑or→を認める。
- 診断は他の血小板減少をきたす疾患の除外診断により行う。
治療
- 血小板2万/μl未満または2〜3万/μlで出血症状がある場合は治療を行う。
- H.pylori感染(+)の場合は、H.pylori除菌療法を行う。
- 副腎皮質ステロイドを投与する。
- 副腎皮質ステロイドで効果不十分または副作用が強い場合は脾摘をする。
- 脾摘でも効果不十分または手術適応がない難治例はトロンボポエチン(TPO)受容体作動薬を使う。
- 緊急時や手術、分娩前などにはγ-グロブリン大量療法(IVIg)や血小板輸血、ステロイドパルス療法を行う。
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