固定薬疹

固定薬疹(fixed drug eruption: FDEとは、特定の薬剤摂取のたびに同一部位に紅斑を生じるものである。
原因薬剤内服後、比較的早く症状が現れるのが特徴で、内服後30分〜1時間程度で患部に灼熱感や掻痒が出現し、3時間〜6時間以内に紅斑や発赤を生じる。また、固定薬疹を起こす薬を繰り返し用いていると典型的には色素沈着が見られる。
固定薬疹はどこでも生じうるが、四肢や皮膚粘膜移行部が好発部位である。なぜ同一部位に薬疹を生じるかといえば、病変部表皮にはエフェクターメモリータイプのCD8陽性T細胞が常在しており、原因薬剤の投与でこれが活性化されるため、同一部位ばかりに発疹を生じると考えられている。通常、固定薬疹は単発か数個以内が多いが、誘発を繰り返せば徐々にその数は増加し多発型に移行する。多発型になると重症薬疹と区別がつかなくなり、発熱などの全身症状も伴って症状が重くなる。

固定薬疹の原因となる薬は頓服薬が多く、一番よく見られるのは非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)で、それに抗菌薬が続く。治療は基本的に原因薬剤の中止のみで十分であり、重症例ではステロイドを用いる。

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