黄斑円孔


【病態】

中心窩に穴のあいたもの。機序としては、加齢などにより硝子体が収縮し、中心窩において接線方向に牽引力が持続的にかかるが、硝子体皮質と中心窩の生理的癒着が強いため、網膜に穴があくことによる。

【疫学】

6070歳の女性に多い。2030%では両眼性。1万人に0.3人の有病率と推定される。

【病期分類】

1期:中心窩の網膜が硝子体と癒着しており、硝子体の収縮によって網膜が硝子体皮質に牽引され、網膜が浮き上がり嚢胞が形成される。黄斑点が認められる。

2期:網膜がさらに牽引され、嚢胞の一部が破れてはがれかかった状態。

3期:嚢胞上部の網膜が完全に分離し、蓋となって円孔が完成したばかりの状態。円孔周囲の網膜は硝子体皮質に牽引されていた名残をとどめて、少し浮き上がったままである。中心暗点が認められる。

4期:硝子体がさらに収縮し、分離した蓋は硝子体皮質に付着したまま眼球前方に移動する。

【症状】

視力低下:0.10.4程度であるが、徐々に低下し0.1以下になることもある。

変視症:病期が進むと円孔が拡大して中心暗点を自覚するようになる。

【検査】

眼底検査やOCTにて、黄斑に円孔が認められる。

【治療】

1期では自然治癒の可能性もあるため、2期以降で手術適応となるが、早期手術の方が予後はよい。4期で長期経過した患者では手術の効果は不確実であり、不自由の訴えが少ないため、積極的には適応とはならない。

牽引している硝子体皮質と網膜内境界膜を除去した上で液ガス置換し、長時間俯き姿勢を保持することで穴を抑える、閉鎖を狙う。ガスによる圧迫により、中心から偏位していた視細胞が中心に向かって移動して円孔が閉鎖すると考えられている。

合併症:硝子体手術に伴い網膜剥離や白内障の進行。下鼻側の恒久的な視野欠損。

注目の記事

遺伝子発現データーベース

概要 各種組織、細胞での遺伝子発現をデーターベース化したもの。 ポストゲノミック時代の手法としてまず注目されているのはこうした遺伝子発現解析であり、近年DNAアレイなどの手法が考案され、組織や細胞で …続きを読む…