大動脈解離
大動脈瘤の一型で、大動脈中膜の変性や嚢状中膜壊死のために中膜が内外2層に解離し、その間に偽腔(解離腔)を形成する。大動脈分岐動脈の狭窄、閉塞と大動脈破裂などが重なり、多彩な症状を呈する。予後不良である。発症48時間以内を超急性期、2週間以内を急性期、3週目~2か月までは亜急性期、2か月以降を慢性期といい、超急性期・急性期は、様々な病態が起こり、患者の生命を左右する最も重要な時期である。
大動脈解離の分類は以下の通りである。
DeBakey分類
Ⅰ型 入口部が上行大動脈にあり、ここから腹部大動脈まで広範囲に解離が及ぶもの
Ⅰ型 入口部が上行大動脈にあり、ここから腹部大動脈まで広範囲に解離が及ぶもの
Ⅱ型 入口部が上行大動脈にあり、解離が上行大動脈に限局しているもの
Ⅲa型 入口部が左鎖骨下動脈直下にあり、解離が胸部下行大動脈に限局しているもの
Ⅲb型 入口部が左鎖骨下動脈直下にあり、解離が加工大動脈から腹部大動脈におよぶもの
Ⅲa型 入口部が左鎖骨下動脈直下にあり、解離が胸部下行大動脈に限局しているもの
Ⅲb型 入口部が左鎖骨下動脈直下にあり、解離が加工大動脈から腹部大動脈におよぶもの
Stanford分類
A型 上行大動脈に解離があるもの
B型 上行大動脈に解離がないもの
A型 上行大動脈に解離があるもの
B型 上行大動脈に解離がないもの
また、偽腔の血流状態による分類として偽腔開存性型と偽腔(血栓)閉塞性型の2つがある。
偽腔開存性型は偽腔に血流があるものであり、危険度は高い。一方、偽腔(血栓)閉塞性型は偽腔が血栓で完全に閉塞しており、血流がないもので、急性期の合併症は少なく、慢性期に癌の退縮も期待されるため、比較的予後は良好である。
大動脈解離では、大動脈分岐部の狭窄・閉塞症状と大動脈の破裂症状などが重なり、多彩な症状を生じる。解離自体の症状としては、突発する前胸部・背部の激痛がある。疼痛は発症時が最強で、進行に伴って下方に移動していくのが特徴である。解離が大動脈弁に達すると大動脈弁閉鎖不全症に陥り、呼吸困難や血痰などの心不全症状を呈することもある。最も危険な症状としては解離部分の外膜の破裂により生じる出血性ショックや心タンポナーデである。
原因疾患として最も多いのは高血圧による動脈硬化や、Marfan症候群である。他にベーチェット病、Ehlers-Danlos症候群、妊娠高血圧症候群、梅毒などがある。60~70歳代の人に好発する。
胸部X線画像で上縦隔陰影の著名な拡大がみられる。確定診断には、エコー、造影CT、MRI、大動脈造影を用いる。
子宮に治療が行われないと予後は致命的である。まず、第一選択としては疼痛除去(モルヒネ)と血圧管理(収縮期圧を100~120mmHg)である。その後、外科的手術を行うかを検討する。StanfordA型の場合、人工血管置換術を行うのが基本的である。StanfordB型の場合は好発療法による内科的治療が基本で、破裂切迫の徴候があれば、人工血管置換術の適応である。
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