小口病
1907年、日本の眼科医小口忠太によって報告された先天停止性夜盲の一型。 常染色体劣性遺伝を呈する。 先天停止性夜盲と言われるように、他の障害を伴わない夜盲が症状である。 夜間でも十分な明かりのある現代社会では、気づかずに生活していることもしばしばある。 特徴ははげた金箔様などといわれる特徴的な眼底の色調。これは3-4時間の暗順応にて正常の色調に戻る。 この現象は水尾ー中村現象と呼ばれている。
原因は光刺激によって活性化されたロドプシンを再度不活化する機能の障害。 遺伝子レベルでG蛋白結合性キナーゼGRK1(or ロドプシンキナーゼRHOK)とS-antigen: SAG (or arrestin) の変異が原因遺伝子として同定されている。
診断は前述の特異的な眼底所見、正常の視力、視野、網膜電図(electroretinogram: ERG)でなされる。 ERGでは正常の錐体細胞の反応と、杆体細胞の反応低下を認める。
現在のところ治療法はない。視力低下、視野障害などの報告はなく予後良好。