左脚ブロック
心筋虚血や心筋の変性により右脚、左脚が障害(ブロック)されると、興奮が速やかに心室全体へ伝導できなくなる。この場合、障害より末梢の部位では興奮が心室筋を介してゆっくり広がり、心室全体の興奮に時間を要する。この病態を脚ブロックという。左脚の本幹が障害されると左脚ブロック、左脚後肢が障害されると左脚後肢ブロック(太いため障害されることはまれ)、左脚前肢が障害されると左脚前肢ブロックという。また、QRS幅(心室の興奮時間)により、不完全脚ブロックと完全脚ブロックに分けられる。
臨床
- 左脚ブロックの特徴としては、幅広いQRS波、V1誘導のQSもしくはrSパターン、V6誘導の中隔性q波の消失およびQRS波でのノッチ(またはスラー)の出現があげられる。
- 左脚ブロックは虚血性心疾患、サルコイドーシス、心筋症などに合併することが多い。
- 左脚分枝ブロック(左脚前肢ブロックおよび後肢ブロック)では、QRS平均電気軸の高度な偏位がみられるのが特徴で、前肢ブロックでは左軸偏位、後肢ブロックでは右軸偏位がみられる。
- なお、右脚ブロックと左脚前肢ブロックまたは後肢ブロックがあると、完全房室ブロックへ移行することがあるが、その頻度は年間で1%に満たない。
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