慢性肉芽腫症

≪病態≫
NADPHオキシターセの欠損or機能不全の為、活性酵素の産生が障害され、食細胞(好中球や単球)の殺菌作用が低下した病態であり、好中球の減少はみられない。伴性劣性遺伝が多い(75%)。患者の好中球は貪食能は正常であるが、H2O2産生(-)カタラーゼ(+)の細菌(黄色ブドウ球菌、大腸菌、クレブシエラ、プロテウス、セラチア等)やある種の真菌(カンジダ、アスペルキルス等)は殺菌できず(原因菌となりやすい)、カタラーゼ陰性菌(肺炎球菌など)は殺菌できる。ウイルス感染は重症化しない。
≪臨床像≫
生後数か月以内に始まる。反復性の重複感染を主徴とする。肛門周囲膿瘍、肺炎、肝膿瘍、リンパ節炎、骨髄炎、皮膚化膿症などで、死因は敗血症や骨髄炎が多い。感染部に肉芽腫を形成する。
≪検査≫
診断の為には、末梢好中球を用いたNBT色素還元能検査を行う。
典型例でNBT色素還元能検査陰性である。化学療法やフローサイトメトリー法による活性酵素産生の低下。
≪治療≫
ST合剤による感染予防。根治療法として造血幹細胞移植も。
BCG接種は生ワクチンであり、播種するため禁忌。

注目の記事

心室中隔欠損症(ventricular septal defect: VSD)

≪疫学・概念≫ 先天性心疾患は出生児の1%ほどが合併する。心室中隔欠損とは心室中隔に欠損校が存在する奇形である。心室中隔は漏斗部中隔、膜様部中隔、肉柱性中隔、流入路中隔の4部分に分けられ、これらの中 …続きを読む…