成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)

レトロウイルスのHTLV-1(human T-cell leukemia virus type 1)感染により起こるT細胞腫瘍のことである。白血病や悪性リンパ腫として中年以降に発症する。ATLLの末梢血には、切れ込みがある花弁状の核を持ったflower cellと呼ばれる特徴的な白血病が出現する。この異常リンパ球はCD3,CD4,CD25陽性となる。HTLV-1のおもな感染経路には、母乳、性交渉、輸血の3つがある。母乳、精液、血液に含まれる感染リンパ球と非感染者のリンパ球が直接接触することで、感染が成立する。現在は妊婦健診で抗HTLV-1抗体検査が導入され、キャリアーの母親への母乳栄養禁止指導がなされるようになったことにより感染率が低下している。現在はほとんどが男性から女性への感染である。コンドームによる感染予防が重要である。輸血による感染は1986年以降抗HTLV-1抗体をチェックするようになったので、まれである。日本でのHTLV-1キャリアーの分布は、沖縄・九州・四国に多く、紀伊半島や一部の東北地方にも分布する。ATLLを疑った場合には出身地を聞くことが重要である。世界的にみると、キャリアーの10%程度が日本に集積しており、日本は世界的な感染者集積地域といえる。

HTLV-1の感染から発症までは以下のような機序で起こる。まずATLLの原因となるHTLV-1とは、レトロウイルスの一種で、CD4陽性のT細胞に感染し、宿主のDNAに組み込まれ、ATLLを引き起こす。組み込まれたDNAはすぐに発現することはなく、潜伏期間が3050年ほど続く。また、発症するのも15%ほどである。組み込まれたDNAが発現し、さらに新たな遺伝子異常が加わることにより、感染T細胞は腫瘍性増殖をきたす。この腫瘍細胞は増殖にかかわるIL-2とその受容体をともに産生している。腫瘍性増殖をきたしたT細胞は末梢血やリンパ節、皮膚などに浸潤し、白血病や悪性リンパ腫の病態を取りATLLを発症する。ATLLを細胞の増殖がリンパ節、肝臓、脾臓へ浸潤するとリンパ節腫脹や肝脾腫を生じる。頻度としては最も多い。これが皮膚へ浸潤すると丘疹・結節・紅班などが見られる。また、正常T細胞が低下することにより細胞性免疫の低下により易感染性になり、日和見感染でニューモシスチス肺炎などが起こる。また、腫瘍細胞からのPTHrPを産生することにより高Ca血症になり、口渇、多尿、意識障害などが見られる。

病型には、くすぶり型、慢性型、リンパ腫型、急性型の4つであり、この順に予後がよくなる。くすぶり型と慢性型の場合は経過観察で、リンパ腫型と急性型の場合は多剤併用化学療法を行う。

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