疥癬

疥癬(scabiesヒゼンダニ(Sarcoptes scabieiの寄生による皮膚感染症である。ヒゼンダニは体長0.20.4mmの非常に小さなダニで丸い形をしている。ヒトの皮膚、特に陰部や指間部、乳房、体幹部などのやわらかい部位に好んで寄生し、強い痒み特に夜間に激しい)や赤い丘疹を作る。
ヒゼンダニはヒトの皮膚に付着すると角層にもぐり込みカイセントンネルという横穴を作る。トンネルの中の雌は交尾後、トンネルを掘りながら産卵をし続ける。産卵された卵は34日ほどで孵化し2週間後に成虫となって産卵を繰り返す。ヒゼンダニは肌と肌の直接の接触や寝具を介しても伝染が広がるもので性行為感染症STD)や院内感染としても発症することが多い。宿主の免疫が低下したような場合では、大量のヒゼンダニが寄生し、皮膚が灰白色のカキ殻のようになりボロボロと剥げ落ちるような状態となる。これはノルウェー疥癬と呼ばれ、ダニの数が非常に多く感染力の強い状態である。特に病院や老人養護施設で患者が発生すると集団感染につながりうる。疥癬の診断は皮膚から検体を採取しKOH法で虫体や卵を証明することである。治療はイベルメクチンの内服等である。

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