白板症


白板症とは粘膜の角化異常に基づく限局性の白斑で、粘膜表面から隆起しないもの、疣状、乳頭上に隆起するもの、びらんを呈するものがある。白斑の形は多くは不定形で、大きさも様々で、白斑が癒合して粘膜面に広く拡がるものもある。特発性白板症と症候性白板症があり、特発性は先天的、遺伝的に生じるもので、きわめてまれである。



口腔粘膜の白斑の大部分は症候性白板症であり歯牙の鋭縁、義歯などの刺激による白板症、たばこの慢性刺激によるニコチン性白色角化症などがある。また種々の皮膚粘膜疾患の部分症状として、口腔粘膜の角化異常をきたし、白色の病変を生じる場合もあるが、この場合は粘膜以外の皮膚に特有の病変が現れる。



口腔内における慢性刺激が原因となる白板症は口腔粘膜のみに限局し、組織学的に角化層のみの増殖で、粘膜固有層には特別の変化がないのが特徴である。角化層における過角化症、棘細胞症などの変化は前癌状態である場合もある。しかし白板症のすべてが前癌状態にあるわけではなく、悪性化の頻度は約10%といわれる。悪性化を疑わせる白板症の特徴は、①白斑の表面が疣状ないし乳頭状のもの、②表面に潰瘍を生じるもの、である。白板症は組織学的に4種類に分けられる。



第Ⅰ期:上皮の単純な肥厚、可逆的変化



第Ⅱ期:角化層、顆粒細胞層の増殖、白色角化症



第Ⅲ期:角化層増殖、有棘細胞の増殖



第Ⅳ期:有棘細胞の異型性、分裂の増加



特発性では治療を必要とせず、症候性では刺激を除去、ビタミンA110万単位投与、あるいは外科的切除を行う。



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