百日咳

百日咳とは、Bordetella pertussis(百日咳菌)の飛沫感染による急性気道感染症で、特有の痙攣性の咳発作(痙咳発作)とリンパ球優位の白血球増多を特徴とする。発症は小児が中心であるが、近年では成人の症例も多い。新生児・乳幼児では重症化しやすく、死亡者の大半を1歳未満が占めている。

臨床経過としては12週間の潜伏期を経た後、12週間のカタル期に入る。この期間は発熱はなく、感冒様症状が続き、感染力が大きい。その後、痙咳発作(レプリーゼ)が起こる痙咳期が26週間続き、その後、時折咳が見られる程度の症状に落ち着く23週間の回復期に入る。第2種学校感染症に指定されているため、特有の咳が消失するまでは出席停止となる。

百日咳に特徴的な症状として痙咳発作がある。咳が510回連続(スタッカート)した後で吸気したときに笛声音(whooping)が生じる。この痙咳発作を交互に数回~数十回繰り返すことをレプリーゼという。痙咳発作は夜間に出現することが多く、しばしば嘔吐を伴う。また、息を詰めて咳をするため顔面浮腫や結膜充血などが生じこれを百日咳様顔貌と呼ぶ。非発作時は無症状であることも特徴的である。

また、新生児・乳児でも、母体からの移行抗体(IgG)では百日咳を防ぐことができないため、罹患することがあり、重症化することがある。新生児・乳幼児では特有の咳症状を示さず、無呼吸発作(死亡の原因となる)やチアノーゼが生じる。

血液検査ではWBC15000/μl以上(そのうちリンパ球70%以上)CRPは陰性で赤沈も正常であることが特徴である。胸部X線写真では特に異常所見は見られない。確定診断には鼻咽頭から菌を分離してBordet-Gengou培地で培養する。

治療にはエリスロマイシンなどマクロライド系の抗菌薬を用いる。

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