稽留流産
稽留流産(missed abortion)とは妊娠22週未満の胎児(胎芽)が子宮内で死亡後、症状なく[[子宮]]内に停滞している状態のことを指す。経膣超音波で見ると子宮内に胎嚢を認めるものの胎児心拍が認められない。特に、胎嚢径が2cm以上で胎芽が認められない場合は稽留流産の可能性が高い。ただし、超音波検査にて胎児心拍動の確認の判定に迷う場合は、複数回間隔をあけて観察する。その他、稽留流産の検査所見としては尿中の[[hCG]]が低値となる。稽留流産では妊娠の継続を望めないので、正常妊娠ではないかしっかりと鑑別したのち、子宮内容除去術を行う(なお、この時の手術は人工妊娠中絶ではないので母体保護法指定医は必要ない)。稽留流産などの場合、死亡児から分泌される組織因子が母体内に流入し血液凝固系が亢進するために母体がDICに陥ることがある(これを死亡児症候群という)。そのため胎児死亡診断の確定後は、すみやかに胎児・付属物の除去を図るとともに、血中フィブリノーゲンの測定、出血傾向の検索を行う。