膜性腎症

腎生検による光学顕微鏡所見で、糸球体係蹄壁の肥厚とスパイク形成がみられる疾患である。蛍光抗体法所見では係蹄壁に沿って主にIgGの沈着がみられる。ネフローゼ症候群を呈することが多く、緩徐に進行する。自然寛解または治療により寛解する場合も多いが、ネフローゼ症候群を呈する場合は腎機能の予後は不良で、20年で40%が腎不全に至る。中高年の男性に好発で成人では罹患率1(一次性ネフローゼ症候群の約30%)であるが、小児には少ない。

膜性腎症は、基底膜の上皮下(上皮細胞側)に免疫複合体が沈着することで引き起こされる。多くは一次性で、原因抗原は不明である。二次性では、悪性腫瘍、自己免疫疾患、感染症、薬剤などが原因として挙げられ、腫瘍や自己組織、微生物が原因抗原と考えられる。二次性の場合、原因疾患の治療により抗原が除去されれま、膜性腎症が治癒する。このため原因腱索は必須であり、特に悪性腫瘍の検索が重要である。

症状は基本的には無症状で、健康診断などで無症候性の蛋白尿を指摘されることがある。尿所見で高度の蛋白尿を認め、血液検査で血清アルブミンの低下や血清総蛋白の低下、また血清LDLコレステロール上昇を認める。

治療としては、二次性の場合は原因疾患の治療が主である。ネフローゼ症候群を呈さない場合は定期的な経過観察を行う。ネフローゼの場合、経口ステロイド療法を行い、ステロイド抵抗性の場合は免疫抑制薬を使用する。症状に応じて、降圧薬、スタチン、エゼミチブ、抗凝固薬、抗血小板薬などを用いる。

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