原発性骨髄線維症

原発性骨髄線維症primary myelofibrosisPMF)とは、造血細胞レベルで生じた遺伝子異常により、骨髄系細胞の増殖と骨髄の広範な線維化および髄外造血を認める骨髄増殖性疾患である。原発性骨髄線維症の約半数にJAK2遺伝子ないしMPL遺伝子の変異を認めるが、CML等で見られるBCR/ABLは陰性である。

臨床的には、貧血、白血球の増加および抹消血での骨髄芽球の出現(類白血病反応)や涙滴赤血球や赤芽球の出現、肝脾腫とそれに伴う腹部膨満感が見られる。一方、NAPスコアは上昇することもあるが、正常であることもあり、血小板数も増加も減少も起こしうる。

確定診断は骨髄生検により細網線維または膠原線維の増加および巨核球の増殖と異型を認めることなどによる。骨髄穿刺では、骨髄の線維化に加え、骨髄の細胞が極めて多いことによりdry tapとなる。

原発性骨髄線維症の治療は、同種造血幹細胞移植が唯一の治癒的治療法であるが、移植関連死亡率が2743%と高い上に、低リスク群では支持療法のみでも長期生存が期待できることから、蛋白同化ホルモンや輸血のみでコントロールすることも少なくない。巨脾による症状が著しい場合には、少量のメルファランやサリドマイド、プレドニゾロンの投与で改善が期待できる。

原発性骨髄線維症の5年生存率は40%程で、平均生存期間は3.4年である。

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