頸管無力症

妊娠中期に頸管が脆弱化していることで、子宮収縮(陣痛)がないのにもかかわらず子宮口が開大してしまい、妊娠が維持できなくなる状況のことを頸管無力症という。発生率は0.05%~1%とされているが、流産早産の原因の約20%を占めている。習慣流産の原因の一つでもある。正常の子宮頸管は、胎児が発育しても開大せずに妊娠末期に至る。しかし、頸管無力症では胎児の発育により子宮内圧が上昇する妊娠中期にいたると、強い子宮収縮といった自覚症状がないにもかかわらず、子宮口が開大して子宮頸管が短縮し、流産・早産にいたる。胎胞が形成されるまで頸管が開大すると、頸管に対する圧迫や伸展による刺激が子宮収縮を引き起こし、前期破水・早産に至る。

先天的な要因(短い子宮頚・子宮奇形など)や前回分娩時の陳旧性頸管裂傷、子宮内容除去術の無理な子宮頸管拡張、子宮頚部円錐切除術などの要因により子宮頸管の強度が減少し、頸管無力症となる。超音波検査にて、内子宮口の楔上開大、頸管の棍棒上(U字状)開大を示す。

前回の妊娠で、本症の既往があった、またあったと疑われた場合、今回の妊娠でも本症をきたすことが多いため、頸管の短縮・開大に注意しながら経過観察し、場合によって予防的頸管縫縮術を行う。これは妊娠12週以降のできるだけ早い時期に行うことが望ましい。今回の妊娠で超音波検査所見から本症を診断した場合、注意深く経過観察を行い、場合によっては治療的頸管縫縮術を行う。頸管縫縮術にはShirodkar法とMcDonald法がある。前者は侵襲性が高いが、確実な効果が得られるのに対し、後者は比較的簡便であり、陣痛発来時に抜糸し、通常分娩に持ち込むことができる。

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