髄芽腫

小児悪性腫瘍の代表であり、男児(14歳以下)い好発するが、まれに成人にも発生することがある。通常、小脳虫部に発生するが、ときに小脳半球にも発生する。髄液を介して大脳、頭蓋底、脊髄の髄腔内に播種する。近年の放射線照射技術の向上、化学療法の併用によって、5年生存率は50%を超えるようになった。腫瘍が発生する小脳での局所症状(眼振、体幹失調、失調性歩行)と、頭蓋内圧亢進症状(腫瘍が中脳水道や第4脳室を圧迫し髄液の通過障害によっておこる非交通性水頭症が原因)が中心となる。経過が早く進行性であることが特徴である。MRIでは小脳虫部に限局して、T1強調像で低信号域、T2強調像で等〜高信号域を示し、造影剤により著名に増強されることが多い。極めて未分化で、発育の速度が速いため、第4脳室や中脳水道に浸潤し、髄液を介してクモ膜下腔、脳室内などへ高率に播種をきたす。また、手術によって播種をきたす場合や、水頭症に対して髄液シャント(V—Pシャント)を行った際に腹腔内に播種する場合もある。そのため、術前術後おMRIによる全脳全脊髄の検索が必須であり、転移が認められなくても、髄液細胞診を行う。治療としては原則的に手術にて腫瘍全摘出sるいは亜全摘出術を行う。術後早期に全脳全脊髄+後頭蓋窩照射を行う。さらに、ビンクリスチン+シスプラチン+ロムスチン(orシクロホスファミド)の併用療法などが用いられている。3歳未満の乳幼児では中枢神経は発達段階にあり、放射線による障害(発育障害・精神発達遅滞)を生じやすいため、術後には化学療法を優先する。悪性腫瘍であり、進行が早く、予後は悪く5年生存率は50〜60%である。残存腫瘍が髄液を介して播種し、再発をきたすことが多い。

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