多能性

pluripotency

すべての臓器/細胞に分化し得る能力

体細胞がpluripotent stem cellへとreprogramされる過程では以下のような変化がみられる。

1)pluripotency markers(Oct4, nanog, and Rex-1など)の出現

2)組織特異的な遺伝子発現の喪失

3)女性の体細胞でのX-染色体の活性化

4) demethylation (histone modification)

既に分化した体細胞に再びこの多能性をもたせる(reprogramming ;pluripotent stem cells化)要素(手法)として以下のような報告がある

1)体細胞の核を未受精卵に移す方法

   体細胞クローン技術:クローン動物 の作成に用いられた。

Viable offspring derived from fetal and adult mammalian cells. Wilmut I et al  Nature 1997

2)体細胞と胚幹細胞のfusion

Nuclear reprogramming of somatic cells by in vitro hybridization with ES cells. Tada M,et al   Curr Biol. 2001

Nuclear reprogramming of somatic cells after fusion with human embryonic stem cells. Cowan CA et al   Cell 2005

3)特定遺伝子導入による体細胞の多能性獲得

Oct3/4, Sox2, c-Myc, Klf4の導入によりsomatic cellsからpluripotent stem cells(iPS細胞)を得たという報告がなされた。

Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors.  Takahashi K et al Cell 2006

尚、本論文においてpluriopoencyの誘導においてはそれまで一番候補のひとつであったNanogは必ずしも必須ではなかったようであるが、pluripotencyの維持にNanogが必要であるという報告は数多くみられる。

The homeoprotein Nanog is required for maintenance of pluripotency in mouse epiblast and ES cells. Mitsui K et al Cell 2003

NANOG maintains self-renewal of primate ES cells in the absence of a feeder layer. Yasuda SY et al Genes Cells. 2006

さらにマウスiPS細胞はnanogでセレクションを行うことにより、よりES細胞に近い細胞が得られている。

2007年山中伸弥教授はさらにヒト皮膚細胞でもこのiPS細胞を作ることに成功した。

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