Von Hippel-Lindeau病
中枢神経系(小脳・脳幹・脊髄)と網膜に多発する血管芽腫に加えて、多臓器に嚢胞性腫瘍が多発する常染色体優性遺伝疾患のことである。VHL遺伝子(3番染色体に存在)の変異が原因となる。小脳に生じた血管芽腫により小脳失調症状(めまい、ふらつき、眼振、四肢強調運動障害)や頭蓋内圧亢進症状が見られる。網膜に生じた血管芽腫により緑内障などの眼症状がみられる。また、まれではあるが、頭頸部の皮膚に単純性血管腫が生じたり、腎臓や膵臓などの多臓器に嚢胞性腫瘍を合併する。腫瘍よりエリスロポエチンが産生され、赤血球増加症となることもある。
MRIにて小脳に嚢胞を伴う結節性病変(血管芽腫)が多発してみられる。血管芽腫の約25%は充実性腫瘍であり、造影MRIにて強く描出される。
治療としては血管芽腫の全摘もしくは放射線療法を行う。